「それでも、生きてゆく」第5話感想

 深見洋貴(瑛太)は釣り船屋『ふかみ』で、藤村五月(倉科カナ)と話している。
 洋貴は、三崎文哉(雨宮健二)(風間俊介)の医療少年院時代を知っている看護師に会いに東京へ行くつもりだ。

 五月はそんな彼に協力する気でいる。そこに、遠山(三崎)双葉(満島ひかり)が訪れる。 

 その頃、文哉は臼井紗歩(安藤サクラ)を車に乗せ、森の奥へ。
 様子のおかしい文哉に「明日、早いんだから。」と紗歩。
 文哉は「明日が来ると思っているのか。」と自分の名前を聞く。
 彼女は「アマミヤケンジ」と答える。


 『ふかみ』で洋貴と双葉、五月の3人はそうめんを食べている。
 双葉と五月は泊まっていく事にする。

 「私と同じ気持ちですよね。」と五月は双葉に尋ねる。

 朝、五月は東京へ帰っていく。
 双葉がまだ残っている所へ父親、三崎駿輔(時任三郎)がやって来る。


 「おまえが1歳の時。」再婚した父。
 兄は5歳。
 「私とお兄ちゃんを産んだ人、今生きてる?死んでる?」
 「死んだ。」
 
 母、野本響子(大竹しのぶ)に謝罪させて欲しいと駿輔は洋貴に頼む。
 文哉も見つけ出すと約束する。
 手がかりは日向夏。

 弟が養子に入った先、日垣一家を訪れている洋貴。
 母の肩をもむ洋貴。
 三崎さんに会ってみたらどうかと、何かのきっかけになるかもしれない。
 弟、日垣耕平(田中圭)は今の暮らしを壊さないでくれと怒鳴る。

 駿輔は妻、遠山(三崎)隆美(風吹ジュン)と話し込む。

 文哉の担当だった東雪恵が行方不明になっている。
 洋貴と五月は、当時の事をよく知っている看護師のひとりに接触。
 あずまゆきえは「付き合ってたんじゃないかって、うわさ。」

 加害者家族に訴訟の事も考えましょうという五月。
 そして彼女は双葉が加害者の妹だと知り、なぜ付き合うのかと洋貴に尋ねる。

 東京に戻って釣り船屋。双葉が訪ねてくる。
 居酒屋でバイトしてるという。

 「服買った方がいい。」
 「私こういうので充分です。」
 「カラオケ行かない?と人に言ってみたい。」
 ラーメンをすすりながら、ポツポツとりとめのない話。

 双葉の手を握ろうとして思いとどまる。

 「うまく行きますよ。遠山さん。がんばってるから。」

 その夜、また双葉に泊まっていくよう勧める。
 双葉は五月が持っていた記事のコピーを見る。
 洋貴が布団の支度をしている間に双葉は帰っていく。

 帰ってこない姉を心配して灯里(福田麻由子)が携帯に連絡。
 双葉は祖母の預けられている老人ホームへやって来る。
 
 翌朝、釣り船屋に電話が。
 母響子が姿を消したらしい。動揺させる事をわざわざ言いに来てと、洋貴に詰め寄る弟。
 そこへ母が戻ってきた。
 「亜季の所。亜季が殺された所へ行って来ました。」
 亜季の歩いた道を辿って行ったという。
 その様子を語り、自分の気持ちを正直に打ち明け始める。

 日垣誠次(段田安則)と日垣由佳(村川絵梨)も同席している。

 自分の中の恨みや苦しみ、前向きに生きられない心の中を吐露する。


 「人じゃなくなるのかもしれません。」

 夢に出てきたのはあの少年でした。
 少年は何も答えない。
 この子私と同じ人間だ。

 少年の事は考えずにきた。
 だけどそうじゃない。私は新聞記者の人じゃないから。偉い大学の人じゃないから。

 私が言いたい事はひとつしかないの。
 「亜季を返して。」

 「私あの少年に会いに行きます。
 会って亜紀を返してもらいます。
 耕平ありがとうずっと母さんの事心配してくれて。」
 響子は日垣家を出て行く決心を固めた。
 「お世話になりました。」洋貴は「僕が母と暮らします。」と頭を下げる。

 響子は釣り船屋に住む事に。

 三崎の妻、隆美がやって来る。
 双葉の所へは兄、文哉が。

 「双葉、お兄ちゃんと一緒に行こうか。」


 第5話、それぞれの家族の決意と動き。 


 家に戻ってきた母、響子が語るシーンは長かった。
 張り詰めた空気が延々続く。
 ただ聞き入るだけの時間。
 大竹しのぶの演技力だから持つ時間。

 彼女は興信所に頼んで三崎一家に嫌がらせをしてたわけだから、心の中は何一つ整理できず、片付いてるわけじゃなかった。
 裏の見えないところで、ネガティブなやり方でしか自分の気持ちを出せなかったけど、息子、洋貴が動いた事で一歩踏み出す事ができた。

 加害者側の父親も自分の気持ちに正直になろうとする。
 息子に会いたい。一緒に暮らしたい。


 被害者の兄と母、加害者の妹と父、それぞれが自分の思惑で文哉を探して会おうとする。

 反対に三崎の妻は完全に文哉を切り捨てて人生歩もうとする。

 居場所がないと感じた双葉の元へ文哉が現れて逃避行のような状況になるのか?


 ところで…
 医療少年院は入所している少年同志の交流は制限されていると思うし、「人気があった。」と言われるほど開放空間ではないと思うのですが。
 ましてや看護師と入所している少年の交際とは。

 更生に向けてカウンセリングを受けるためのカリキュラムがきっちり組まれた場所だし。 
 専門家はチームを組んで当たるから、個人的な関わりはないはず…。

 特別なケースの少年は他の入所者と接触しないよう、いろんな配慮がされてると思うのよね。

 情報とか秘密が漏れないよう。

 臼井紗歩は出所した恋人から文哉の話しを聞いてるようだけど、それは考えられない設定、状況かもしれません。

 有り得ないシチュエーションに、ドラマだなぁって思います。
 ドラマチックで面白い。
 面白いけど現実的ではないから、やっぱエンタテイメント。
 深いし考えさせられるけど、娯楽。

 室内劇のような台詞の多い映画やドラマの好きな人は嵌る?
 戯曲や演劇の好きな人も。

 皆の気持ちが一点に集約され過ぎてて、ちょっと息苦しいというのはありますよね。
 皆が文哉の方を向いている。
 加害者家族の立場で、あるいは被害者家族の立場で。

 忘れて自分の人生を歩こうとする三崎の妻や洋貴の弟、耕平はこういう結束の輪から外れて出番は今以上に少なくなっていくでしょうね。




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